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会議が終わったあと、走り書きのメモを議事録に整える作業は、地味に時間がかかります。
発言をそのまま並べると長くなり、短くまとめすぎると、何が決まったのか分かりにくくなります。会議中は理解できていた内容でも、数日後に読み返すと、決定事項と検討中の案が混ざって見えることもあります。
ChatGPTに会議メモを渡すと、内容を整理して議事録のたたき台を作れます。ただし、会議メモには曖昧な発言や保留事項、担当者が決まっていない作業も含まれます。
AIが文章を読みやすく整える過程で、まだ決まっていないことまで決定事項のようにまとめてしまうと、会議後の認識違いにつながります。
そのため私は、議事録を作るときに「きれいな要約」を最初から求めません。まず、決定事項、TODO、未確認事項を分けてもらいます。
AIには発言内容の抜き出しと分類を頼みます。一方で、本当に合意された内容なのか、担当者や期限が実際の発言に含まれていたのかは、人間側で確認します。
調べ物の結果を比較表にすると判断しやすくなるのと同じように、会議メモも項目ごとに分けると確認しやすくなります。表で情報を整理する考え方は、ChatGPTで調べ物をするときに比較表を作る理由でも扱っています。
ChatGPTに議事録を頼む前に、入力してよい情報を確認する
議事録をChatGPTに整理してもらう前に、まず確認したいのは、会議メモをどこまでAIに渡してよいかです。
会議には、社内情報、個人名、顧客名、未公開情報、金額、契約条件などが含まれることがあります。議事録作成に便利だからといって、すべてをそのまま入力してよいとは限りません。
私は会議メモをAIに渡す前に、個人情報や機密性の高い内容を削るか、仮名に置き換えます。会議の内容によっては、そもそもAIに入力しない判断も必要です。
AIに整理を頼む前の段階で、何を入力し、何を入力しないかを決めるのは人間側の役割です。
| 事前に確認すること | 確認する内容 | 対応例 |
|---|---|---|
| 入力してよい情報か | 顧客名、個人名、社外秘、契約情報 | 仮名化する、要約する、入力しない |
| 会議の目的 | 情報共有、意思決定、進捗確認、相談 | 議事録に残す粒度を決める |
| 残したい項目 | 決定事項、TODO、未確認事項、次回確認 | 出力形式として指定する |
| 補完させない項目 | 担当者、期限、決定内容 | 不明な場合は未確認と書かせる |
会議メモは、文章として読みやすく整っていなくても構いません。
むしろ、AIに渡す前にメモを整えすぎると、実際の発言と自分の解釈が混ざることがあります。可能であれば、会議中の発言メモと、自分があとから加えた補足を分けておくと確認しやすくなります。
ここで意外と大事になるのが、会議中の音声をどれだけきれいに残せているかです。ChatGPTに議事録を整理してもらう場合でも、元の録音や文字起こしが曖昧だと、決定事項やTODOの確認が難しくなります。
会議や打ち合わせをあとからAIで整理したいなら、AIボイスレコーダーのように録音と文字起こしを前提にした道具を使うと、議事録作成までの流れがかなり落ち着きます。ただし、録音してよい会議か、参加者への共有や社内ルールに問題がないかは、先に確認しておく必要があります。
議事録で大切なのは、AIにうまく書かせることよりも、参加者があとから見たときに「これは本当に決まったことか」と確認できる形にすることです。
決定事項・TODO・未確認事項を分けて整理する
ChatGPTに議事録を頼むときは、会議全体を文章で要約してもらうだけでなく、項目ごとに分類してもらうと見直しやすくなります。
私が分けているのは、次の4項目です。
| 区分 | AIに整理してもらうこと | 人間が確認すること |
|---|---|---|
| 決定事項 | 会議で決まった内容を抜き出す | 本当に参加者が合意したか |
| TODO | 作業内容、担当者、期限を分ける | 担当者と期限が発言内にあるか |
| 未確認事項 | 曖昧な点や追加確認が必要な内容を残す | AIが勝手に結論を出していないか |
| 次回確認 | 次の会議や連絡で確認することを並べる | 会議の目的と合っているか |
文章だけの議事録では、決定したことと、話題に出ただけのことが近くに並びます。そのため、読み返した人が両者を同じ重さで受け取ってしまうことがあります。
最初から区分を分けておけば、すでに決まったこと、会議後に動くこと、まだ確認が必要なことを見分けやすくなります。
以下の会議メモを議事録用に整理してください。
目的:
会議の種類:
必ず残したい観点:
勝手に補完しないこと:
出力:
1. 決定事項
2. TODO
3. 未確認事項
4. 次回確認すること
担当者や期限がメモ内にない場合は「未確認」と書いてください。
このプロンプトで特に重要なのは、担当者や期限がメモにない場合の扱いを指定していることです。
AIは自然な議事録に整えようとして、前後の文脈から担当者や期限を推測することがあります。しかし、推測で補われた内容は、会議で合意された事実ではありません。
出力された内容を確認するときは、参加者が合意したものだけが決定事項に入っているかを見ます。
話題に出ただけの内容や、誰かが案として挙げただけの内容は、決定事項ではありません。判断できないものは、未確認事項として残します。
担当者や期限が曖昧な場合は補完させない
議事録の中でも、特に注意したいのが担当者と期限です。
会議では、「誰か確認しておきましょう」「来週くらいに見たいですね」といった曖昧な発言が出ることがあります。
これをAIが読みやすく整えようとすると、担当者や期限を具体的に補ってしまう場合があります。しかし、実際に担当者が決まっていなければ、議事録だけを見た人との間に認識違いが生まれます。
私はプロンプトに、「不明なものは未確認と書く」「推測で補わない」と明記します。空欄を無理に埋めるのではなく、確認が必要な状態のまま残してもらうためです。
次の会議メモからTODOだけを整理してください。
条件:
- 担当者が明確に発言されていない場合は「未確認」とする
- 期限が明確に発言されていない場合は「未確認」とする
- 相談中の内容は決定事項にしない
- 文脈から推測して補わない
出力列:
作業内容 / 担当者 / 期限 / 根拠になったメモ / 未確認理由
「根拠になったメモ」の列を入れておくと、AIがどの発言をもとに整理したのか確認できます。
たとえば、担当者欄に「佐藤さん」と書かれていた場合でも、元のメモに明確な担当依頼があるとは限りません。根拠となる発言が弱ければ、担当者欄は未確認に戻します。
会議後に困るのは、議事録が読みやすく整っているのに、誰が動くのか分からない状態です。
一方で、未確認事項として残っていれば、次に誰へ何を確認すればよいかが分かります。議事録では、空欄をなくすことよりも、未確認の内容を未確認のまま見える形にするほうが役立つことがあります。
AIが変えてしまった会議のニュアンスを確認する
ChatGPTが作った議事録は、読みやすい文章になっていても、元の発言のニュアンスが変わっていることがあります。
反対意見が弱くなったり、保留中の話が前向きな決定に見えたり、慎重な発言が断定的な表現に変わったりすることがあります。
私は、議事録を確認するときに次の順番で見ています。
| 確認項目 | 見ること | 修正の判断 |
|---|---|---|
| 決定事項 | 本当に合意された内容か | 合意されていなければ未確認事項へ移す |
| TODO | 担当者、期限、作業内容が発言内にあるか | 推測であれば未確認に戻す |
| ニュアンス | 懸念、反対意見、保留が消えていないか | リスクや保留事項として残す |
| 数字 | 金額、件数、日付、期限が正しいか | 元メモや資料と照合する |
| 共有範囲 | 参加者以外に共有してよい内容か | 必要に応じて削除や修正をする |
議事録は、会議をきれいに見せるための文章ではありません。あとから関係者が、同じ前提に戻るための記録です。
会議中に出た懸念や反対意見を読みやすさのために削ってしまうと、次に判断するときの材料がなくなります。
AIが整理した内容を確認するときの考え方は、AIで仕事の確認チェックリストを作る方法でも扱っています。
議事録では、事実、期限、共有してよい範囲に加えて、会議中の温度感が変わっていないかも確認します。
次回も使える議事録テンプレートを残す
議事録の作り方を毎回その場で考えていると、会議によって残す項目が変わり、確認漏れが起きやすくなります。
繰り返し行う会議であれば、ChatGPTに渡す情報と出力形式をテンプレートにしておくと、次回から同じ観点で確認できます。
議事録整理テンプレート
会議名:
日時:
参加者:
会議の目的:
共有してよい範囲:
会議メモ:
出力してほしい形:
- 決定事項
- TODO
- 未確認事項
- 次回確認すること
- 参加者に確認したほうがよい表現
禁止:
- 担当者や期限を推測で入れない
- 相談中の内容を決定事項にしない
- 未確認の数字を断定しない
このテンプレートは、一度作って終わりではありません。
実際に使ったあと、確認しにくかった点や抜けていた項目を戻していきます。
たとえば、毎回「次回確認すること」が抜けるなら、出力項目の上のほうへ移します。共有範囲の判断で迷ったなら、「共有してよい範囲」を毎回入力する固定項目にします。
テンプレートを使いながら直していく考え方は、AIへの作業依頼テンプレートの作り方にもつながります。
議事録用のテンプレートも、最初から細かく作り込むより、会議後に困った点を少しずつ追加するほうが続けやすいです。
ChatGPTの要約を使いながら、決まっていないことを残す
ChatGPTで議事録を作るときは、会議メモを短くすることだけを目的にしません。
決まったこと、会議後に動くこと、まだ決まっていないことを分ける。担当者や期限が曖昧であれば、推測で埋めずに未確認として残す。共有する前に、事実と会議中のニュアンスが変わっていないかを人間が確認する。
AIには、長いメモから必要な内容を抜き出し、項目ごとに整理してもらいます。ただし、それを正式な議事録として扱ってよいかを決めるのは人間側です。
共有前には、決定事項の欄だけを先に読み、本当に会議中に合意された内容だけが入っているかを見ます。次にTODOを見て、担当者、期限、作業内容のうち、どれかが推測で補われていないかを確認します。少しでも根拠が弱い場合は、未確認事項へ戻します。
最後に、未確認事項と次回確認の欄を残したまま共有できているかを見ます。議事録をきれいに整えようとすると、曖昧な部分を消したくなります。しかし、未確認のまま残すこと自体が、次の確認漏れを減らすための材料になります。
この順番にしておくと、AIの要約を使いながらも、会議後の認識違いや確認漏れを減らしやすくなります。

