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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への勧誘や投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
カップウィズハンドルの買い判定は、AI株式投資ツールで最初に入れたシグナルの一つです。ただ、最初に動かしたときから「このまま使うにはまだ粗い」と感じていました。
前回は、買い判定そのものを直す前に、ポジションサイズとエクスポージャーを見直しました。今回はその続きとして、カップウィズハンドルの条件を再検証し、短期ルックバックを採用候補として残すまでの流れを整理します。
ルックバックとは、ざっくり言えば「過去どれくらいの期間を見て判断するか」です。短期ルックバックは、長い期間の大きな形よりも、直近の値動きを重視する見方です。
この記事では、買い判定ロジックの具体的なパラメータ値は出しません。ただし、バックテスト結果については、検証の大きさを判断できるように主要な数字を出します。特定の設定をそのまま使うための記事ではなく、AIと一緒に売買ルールを検証する過程を記録する記事として読んでください。
強い結果を見る前に、バックテストの前提を置いておく
最初のカップウィズハンドル検証では、買い判定の条件だけを見ていました。カップの形をどう拾うか、ハンドルの調整をどう見るか、出来高をどこまで条件に入れるか。目が向きやすいのは、どうしてもチャートパターンの検出部分です。
ただ、実際にバックテストを見ていくと、買い判定の前にポジションサイズの設計が大きく効いていました。資金の使い方を直す前の結果だけで、カップウィズハンドルの良し悪しを判断するのは危ないと感じました。
そこで、資金配分の前提を整えたうえで、あらためてカップウィズハンドルの条件を見直しました。ここで見たかったのは、デフォルト設定をそのまま使うべきか、それとも直近の形を重視する設定へ寄せた方がよいのかです。
その結果、短期ルックバックの設定は、Full期間のバックテストで総リターン+455%、増加額+1,365万円というかなり強い数字になりました。だからこそ、数字だけを先に見るのではなく、どんな前提で出た結果なのかを先に置いておきます。
| 前提 | 内容 |
|---|---|
| 検証期間 | 2015年〜2024年のFull期間 |
| 対象 | TOPIX500ユニバース |
| 初期資本 | 300万円 |
| 最大同時ポジション数 | 4枠 |
| 最大保有日数 | 60日 |
| 売買コスト前提 | スリッページ0.1% |
| 資金配分 | エクスポージャー最適化後の設定 |
| 買い判定 | カップウィズハンドルの短期ルックバック設定 |
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 総リターン | +455% |
| 増加額 | +1,365万円 |
| 最終資産 | 1,665万円 |
| 取引数 | 166件 |
| PF | 2.377 |
| 勝率 | 60.2% |
| 最大ドローダウン | -20.68% |
この結果は、過去データを使ったバックテスト上の結果です。実運用では約定、売買コスト、銘柄入れ替え、税金、運用中の心理面で結果は変わります。「この設定を使えば勝てる」という意味ではなく、検証対象として十分に深掘りする価値がありそうだ、という位置づけです。
数字そのものよりも、私が見たかったのは「取引数だけが増えていないか」「利益が一部の時期に偏っていないか」「MDDが悪化していないか」でした。買い判定は、当たりやすさだけでなく、資金曲線の崩れ方まで見ないと判断できません。
ここでいうMDDは、最大ドローダウンのことです。運用中に資産がどれくらい深く沈んだかを見る指標です。リターンが改善していても、MDDが大きく悪化しているなら、実際に続けられるルールとは言いにくくなります。
Claude Codeには条件を一つずつ変えて比較するよう依頼した
今回、Claude Codeには、カップウィズハンドルの条件を一度に全部変えるのではなく、1つずつ変えてバックテストできるように依頼しました。複数の条件を同時に動かすと、どの変更が結果に効いたのか分からなくなるからです。
具体的には、カップを見る期間、ハンドルを見る期間、出来高条件、カップの深さ、右側高値の許容幅を分けて比較できるようにしました。AIに任せたのは、条件を切り替えられる形にすること、バックテストを回すこと、結果を比較しやすい表に整理することです。
私が見たのは、その結果をどう判断するかでした。PFが改善しているか、勝率だけに寄っていないか、取引数が極端に減っていないか、MDDが大きく悪化していないか。数字を並べるだけではなく、採用してもよさそうな理由と、まだ怖い理由を分けて見ました。
AIに頼みたかったのは、答えを決めてもらうことではなく、条件を変えたときの差分を見える形にしてもらうことです。最終的に採用候補に残すかどうかは、バックテストの表を見ながら自分で判断する必要があります。
PFは、利益の合計と損失の合計のバランスを見るための指標です。高ければよいように見えますが、PFだけで決めると、取引数が少なすぎる設定や、一部の期間だけに合った設定を選んでしまうことがあります。だから、PFは判断材料の一つとして扱いました。
短期ルックバックは、直近の形を重視する設定として扱った
デフォルト設定では、カップとハンドルを見る期間をやや長めに取っていました。大きな形を拾うには自然ですが、買いタイミングとしては遅れたり、個別株の値動きでは形がぼやけたりする可能性があります。
短期ルックバックでは、より直近の形を重視します。長い期間の大きなカップではなく、最近の調整と上抜けを見にいくイメージです。今回の検証では、この見方が採用候補として残りました。
| 比較観点 | デフォルト設定 | 短期ルックバック設定 |
|---|---|---|
| カップの見方 | やや長い期間の形を重視 | より直近の形を重視 |
| ハンドルの見方 | 長めの調整を拾いやすい | 短めの調整を拾いやすい |
| 期待したこと | 大きなパターンを拾う | 買いタイミングの遅れを減らす |
| 注意点 | 形がぼやける可能性がある | 短期のノイズを拾う可能性がある |
| 本文での扱い | 基準として比較 | 採用候補として検証継続 |
この比較で大事だったのは、短期ルックバックを「正解」として扱わないことです。対象銘柄、検証期間、出口条件、最大保有数が変われば、結果も変わります。今回の条件では良く見えた、という距離感で残す必要があります。
それでも、デフォルト設定より短期ルックバックの方が、今回の買い判定には合っていそうだと判断しました。取引数だけが増えたわけではなく、PFや勝率は改善傾向で、MDDも大きく悪化していなかったからです。
ここで私が見ていたのは、リターンの大きさだけではありません。条件を変えたときに、買い判定としての質が上がっているように見えるかです。候補数を増やすだけなら簡単ですが、それでは確認作業が増えるだけです。
強く見えた結果ほど、過去データに合いすぎていないか疑った
バックテストでは、良い数字が出た瞬間が一番危ないと感じました。悪い結果なら採用しないだけですが、良い結果は「これでいけるかも」と思いたくなります。
特に、条件をいくつも試した後に強い設定が見つかると、過去データに合わせすぎている可能性があります。たまたまその期間に合っただけなのに、ルールとして強いと勘違いするかもしれません。
強く見えた結果ほど、すぐ採用せずに、別の角度から疑う必要があります。今回でいえば、ランダム比較、期間を広げた確認、負け年の確認を入れました。
ランダム比較は、「適当に入った場合と比べて、本当に意味がありそうか」を見るための確認です。もちろん、ランダムより良いからといって勝てる証明にはなりません。ただ、少なくとも今回の条件では、完全な偶然だけでは説明しづらい結果かどうかを見る補助になります。
| 比較項目 | 結果 |
|---|---|
| 実シグナルのPF | 2.377 |
| ランダムエントリーのPF平均 | 1.251 |
| ランダムエントリーの標準偏差 | 0.190 |
| 実シグナルの位置 | +5.9σ |
この確認を入れておくと、強い数字を見たときの自分の気持ちを少し落ち着かせられます。AIがきれいな比較表を出してくれるほど、つい結論に飛びつきたくなりますが、そこを一拍置くための検証です。
ランダム比較と負け年を見て、採用候補として残した
短期ルックバックは、デフォルト設定より良く見えました。デフォルト設定では総リターン+80.97%、増加額+243万円だったのに対し、短期ルックバックでは総リターン+455%、増加額+1,365万円まで伸びています。取引数は158件から166件で、ただシグナルを増やしただけの改善ではありませんでした。
ただし、負け年は残っています。ここは大事です。全体として良く見える設定でも、どこかの年ではマイナスになる可能性があります。バックテスト上では一時的なマイナスに見えても、実際の運用中には「もうこのルールは効かないのでは」と感じるはずです。
採用前に負け年を見ておくことは、設定を途中で変えたくなる自分への準備でもあります。負けたときの感情を想像せずに、良い年だけを見て採用すると、実運用で続けるのが難しくなります。
| 確認項目 | 見たかったこと | 今回の判断 |
|---|---|---|
| 取引数 | シグナルが増えすぎていないか | 166件で、デフォルトから大きく増えていない |
| PF | 利益と損失のバランスが改善しているか | 1.375から2.377へ改善 |
| MDD | 下落が大きく悪化していないか | -25.85%から-20.68%へ改善 |
| ランダム比較 | 偶然だけでは説明しづらいか | +5.9σで優位に見えた |
| 負け年 | 悪い時期でも続けられるか | 10年中1年はマイナスとして残った |
この表で残したかったのは、結論ではなく判断軸です。具体的な設定値を覚えるよりも、買い判定を検証するときに何を見るかを残した方が、自分の次の検証にも使いやすいと感じました。
短期ルックバックは、現時点では採用候補です。採用確定というより、次の検証に進めるだけの理由がある設定として残します。次に見るべきなのは、別の買い判定との比較や、組み合わせたときに全体の成績がどう変わるかです。
設定の答えではなく、検証の順番を残す記事にする
今回の記事で残したいのは、短期ルックバックという設定名そのものではありません。大事なのは、買い判定が弱く見えたときに、すぐロジックだけを直すのではなく、資金配分、比較条件、ランダム比較、負け年まで順番に見ることです。
AI株式投資ツールを作っていると、候補を出すところまではかなり速く進みます。Claude Codeに頼めば、条件を切り替える画面やバックテストの集計も作れます。ただ、そこで出てきた数字をどう扱うかは、人間側の仕事として残ります。
今回の検証でいちばん大きかったのは、カップウィズハンドルを感覚ではなく比較で見直せたことです。デフォルト設定、短期ルックバック、ランダム比較、負け年の確認を並べることで、採用候補として残す理由と、まだ疑う理由を分けられました。
次に試すのは、後から追加したEW2との比較です。カップウィズハンドルが強く見えるなら、エリオット波動の第2波押し目を狙うロジックはどうなのか。さらに、両方を組み合わせたらもっと良くなるのか。
この問いは、実際に検証するまで分かりません。強い買い判定を足せば、さらに強くなるように見えます。でも、ポジション枠や相場環境が重なると、逆に成績が悪化することもあります。次の記事では、その比較を整理していきます。

