※本記事はプロモーションを含みます。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への勧誘や投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
日本株の買いシグナルをAI株式投資ツールで検証していたところ、カップウィズハンドルだけでは候補がほとんど出ないことが分かりました。TOPIX500を対象に約10年分を確認しても、厳密な条件に該当した取引は1件だけでした。
この件数では、パターンの良し悪しを判断する以前に、検証する材料が足りません。そこで、別の判定候補として追加したのがエリオット波動です。
この記事では、エリオット波動の理論を詳しく説明するのではなく、私がAIツールに判定ロジックを入れ、条件を変えながらバックテストした記録をまとめます。
条件を厳しくすれば成績も良くなるのではないかと考えていましたが、結果はそれほど単純ではありませんでした。勝率やリターンは下がった一方で、最大ドローダウンは改善するという、少し判断に迷う結果になっています。
カップウィズハンドルだけでは検証材料が足りなかった
最初に試したのは、カップウィズハンドルでした。カップの形状、ハンドル部分、出来高の増加などをAIに整理してもらい、複数の条件をすべて満たしたものだけを候補として判定する形にしていました。
チャートの形を条件に落とし込みやすいように思えたのですが、実際にバックテストすると、10年分のデータで該当した取引は1件だけでした。
これは、「負けたから使えない」という結果ではありません。そもそもサンプルが少なすぎて、成績を評価できない状態です。条件を緩めれば件数は増やせるかもしれませんが、それでは最初に想定していたカップウィズハンドルとは違う形まで拾ってしまいます。
そこで、カップウィズハンドルとは別の判定候補として、2波終了後の3波狙いと、4波終了後の5波狙いという考え方でエリオット波動を追加しました。
エリオット波動の判定ロジックは、過去の別プロジェクトでも一度作ったことがあります。ただ、そのときは有効性のバックテストや実際の運用までは進められませんでした。
今回は、AIにツールの修正や検証環境の整備を手伝ってもらうことで、以前より検証を進めやすくなりました。理論として知っているものが、日本株の過去データではどのように見えるのかを確認したかった、というのが出発点です。
最初の判定条件では候補が増えすぎた
最初に入れたエリオット波動の条件は、かなりシンプルなものでした。直近の終値が波の安値より上にあるかを見て、2波や4波が終わった可能性のあるものを拾う考え方です。
カップウィズハンドルのように厳密な形を待たないため、候補数を増やすという目的には合っていました。一方で、バックテスト結果を見て気になったのが、だましの多さです。
安値より上に戻っただけで候補にすると、本当に次の上昇波へ入ったのか、それとも一時的に反発しただけなのかを区別しにくくなります。
AIツールは、設定した条件に当てはまる候補を整理して表示してくれます。ただ、候補が多ければ判断しやすくなるとは限りません。だましが多い状態で候補だけが増えると、画面に表示されたシグナルをどこまで信用してよいのか、かえって迷いやすくなります。
ここで改めて感じたのは、AIに判定を任せても、判定条件そのものが良くなるわけではないということです。条件が粗ければ、AIツールも粗い候補を多く出します。作業は自動化できても、確認すべき候補が増えるだけになる可能性があります。
ABC修正波を使った条件へ変更した
だましを減らすため、次に試したのがABC修正波を使った条件です。単に安値より上に戻ったかを見るのではなく、A・B・Cの修正波を見つけ、そのうえでB波の高値を終値で上抜けることを条件にしました。
ただ反発しただけの状態ではなく、調整を経たあとに再び上へ抜けた状態を候補として拾いたかったためです。
条件を変更したあとは、変更前と変更後で、候補数、勝率、平均損益、PF、最大ドローダウンがどう変わったかを比較しました。条件を変えると、画面上では判定が精密になったように見えます。ただ、それだけで「良くなった」とは判断できません。同じ前提でバックテストし、結果を並べて確認する必要があります。
このとき私が期待していたのは、候補数が少し減っても、だましが減り、残った候補の勝率や平均損益が改善することでした。条件を厳しくすれば、質の低い候補が落ち、成績も良くなるのではないかと考えていたからです。
しかし、実際の結果は予想とは違いました。
勝率とリターンは下がり、最大ドローダウンは改善した
変更前後の比較では、2015年から2024年までのTOPIX500を対象にしたバックテスト結果を見ています。前提は、初期資金300万円、最大同時保有4銘柄です。
この比較で参照している取引ログでは、227件の内訳がWave2が214件、Wave4が12件、カップウィズハンドルが1件です。つまり、この結果は実質的にエリオット波動を中心とした成績です。カップウィズハンドル単独のバックテスト結果として扱うことはできません。
| 区分 | 変更前 | 変更後 | 見えたこと |
|---|---|---|---|
| Wave2勝率 | 55.6% | 47.5% | 勝率は低下 |
| Wave2平均損益 | +1.4% | +0.3% | 平均損益も低下 |
| Wave4勝率 | 66.7% | 33.3% | 大きく低下 |
| Wave4平均損益 | +3.4% | -3.2% | マイナス化 |
| 全体勝率 | 55.9% | 48.5% | 全体でも低下 |
| PF | 1.050 | 1.032 | ほぼ横ばいだが低下 |
| 最大ドローダウン | -34.2% | -22.7% | 改善 |
条件を厳しくした結果、全体勝率は55.9パーセントから48.5パーセントへ下がりました。PFも1.050から1.032へ低下しています。一方で、最大ドローダウンは-34.2パーセントから-22.7パーセントへ改善しました。
勝率や平均損益だけを見れば、条件変更によって成績が悪くなったように見えます。反対に、資産の落ち込みを示す最大ドローダウンだけを見れば、リスクは抑えられたように見えます。
単純に「条件変更は失敗だった」と言い切るには、最大ドローダウンが改善しています。しかし、「条件を改善できた」と言うには、勝率や平均損益、PFが下がっています。
条件を厳しくしたことで勝率とリターンは下がったものの、最大ドローダウンは改善した。今回の結果は、そのトレードオフとして見る必要がありそうです。なお、これは過去データを使ったバックテスト結果であり、将来の成績を保証するものではありません。
条件を増やせば成績が良くなるとは限らない
今回の検証で一番残ったのは、「条件を厳しくすれば成績も良くなる」という前提を疑う必要がある、ということでした。
投資ロジックを作っていると、だましを減らすために条件を追加したくなります。私も、B波高値を終値で上抜ける条件を加えれば、質の低い候補が減り、残った候補の成績は良くなるのではないかと考えていました。
しかし、候補を絞る条件は、悪い取引だけをきれいに取り除いてくれるわけではありません。利益につながった取引まで候補から外してしまう可能性があります。
AIツールで条件を追加すると、画面上ではロジックが精密になったように見えます。ただ、バックテストしてみると、別の指標が悪化していることがあります。今回でいえば、最大ドローダウンは改善しましたが、勝率と平均損益は下がりました。
どちらが重要かは、何を優先するかによって変わります。私はこの結果を見て、エリオット波動を「使える」「使えない」のどちらかに決めるのではなく、参考シグナルとして残しながら、資金管理やほかの条件と合わせて検証する必要があると感じました。
少なくとも、勝率だけを見て判断するのは難しそうです。PF、最大ドローダウン、平均損益、取引数を並べて見なければ、何が良くなり、何が悪くなったのかを見落としやすくなります。
カップウィズハンドルとは別の参考シグナルとして残す
エリオット波動を追加したあと、カップウィズハンドルと組み合わせれば、より判断しやすいシグナルになるのではないかとも考えました。ただ、今回の結果では、サンプル数に大きな偏りがあります。
カップウィズハンドルは10年間で1件、エリオット波動は226件です。この状態でOR条件として組み合わせると、件数の多いエリオット波動がポジション枠の大半を占めます。
最大同時保有4銘柄という制約もあるため、組み合わせた結果だけを見ても、どちらのシグナルが成績に影響しているのか判断しにくくなります。
そのため現時点では、カップウィズハンドルとエリオット波動を1つの自動売買シグナルには統合せず、それぞれ独立した参考シグナルとして表示する方針にしています。
両方のシグナルが出ている銘柄と、片方だけが出ている銘柄を自分で確認し、最終的に候補として採用するかは自動判定にしません。AIツールには候補の抽出と整理を任せますが、その前提やリスクを確認する部分は人間側に残します。
カップウィズハンドル側の検証は、カップウィズハンドルを10年検証した記事に分けてまとめています。シグナル全体の関係や資金管理まで含めた内容は、買いシグナル検証のまとめ記事に整理していく予定です。
今回の検証は、過去データを使った私自身の実験ログです。エリオット波動が日本株で必ず機能するという話ではありません。また、条件を厳しくすれば、必ずリスクを抑えられるという結果でもありません。
勝率とリターンは下がり、最大ドローダウンは改善しました。このトレードオフをどう扱うかは、まだ判断しきれていません。今後は実際の資金運用の中で、どの条件を判断材料として残せるのか、引き続き確認していきます。

