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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への勧誘や投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の判断と責任で行ってください。
カップウィズハンドルの短期ルックバックは、単独検証でかなり強い結果でした。EW2も単独ではプラスでした。そうなると、次に考えたくなるのは「両方を使えばもっと良くなるのでは」ということです。
私も最初はそう思っていました。カップウィズハンドルは順張り寄り、EW2は逆張り寄りです。違う局面を拾えるなら、組み合わせることでチャンスが増えるように見えます。
でも、バックテスト結果は逆でした。今回の条件では、カップ短期設定の単独が最も強く、EW2を足すとリターンも最大ドローダウンも悪化しました。この記事では、その原因をポジション枠の競合から整理します。
この記事では、短期ルックバックにしたカップウィズハンドルを「カップ短期設定」と呼びます。技術的な設定名よりも、本文では何を比較しているのかが分かりやすい表現を優先します。
足せば強くなると思った組み合わせがカップ短期設定を下回った
最終比較では、カップ短期設定の単独、EW2単独、カップ短期設定+EW2を同じ前提で並べました。ここで出てくる数字は過去データ上のバックテスト結果であり、将来の利益を保証するものではありません。
| 指標 | カップ短期設定 | EW2単独 | カップ短期設定+EW2 |
|---|---|---|---|
| 取引数 | 166件 | 214件 | 230件 |
| PF | 2.377 | 1.254 | 1.527 |
| 勝率 | 60.2% | 49.5% | 51.7% |
| 総リターン | +455% | +89.76% | +239% |
| 増加額 | +1,365万円 | +269万円 | +718万円 |
| MDD | -20.68% | -23.07% | -34.48% |
組み合わせで一番気になったのは、リターンが下がっただけでなく、最大ドローダウンが大きく悪化したことです。強い買い判定を足したはずなのに、全体のリスクはむしろ大きくなりました。
ここで先に整理しておきたいのは、ポジション枠の制約です。今回のツールでは、買いシグナルがいくつ出ても、同時に持てる銘柄は4つまでです。そのため、EW2が先に4枠を使ってしまうと、あとから出たカップ短期設定の買いシグナルには入れません。
つまり、買い判定を増やすことは、単純にチャンスを増やすことではありません。限られた枠の奪い合いを起こすことでもありました。ここを見落とすと、単独では良いロジック同士を足したのに、なぜ全体が悪くなったのかが分かりにくくなります。
大事なのは、EW2が完全に悪いという話ではないことです。EW2単独はプラスでした。問題は、カップ短期設定と同じ資金枠で使ったときに、カップ短期設定の良い取引を邪魔してしまったことです。
EW2が先に枠を使い、良いカップ短期設定を逃した
EW2は逆張り寄りなので、相場が下げている局面でポジションを持ちやすくなります。一方、カップ短期設定は上昇の形を確認してから入る順張り寄りです。EW2が先に4枠を使っていると、後から出た良いカップ短期設定のシグナルに入れないことがあります。
実行取引数の差分で見ると、カップ短期設定の単独では166件取れていたのに、組み合わせ内のカップ短期設定は87件まで減りました。約48%の取引が消えたことになります。
| 指標 | カップ短期設定単独 | 組み合わせ内のカップ短期設定 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 取引数 | 166件 | 87件 | -79件 |
| 勝率 | 60.2% | 49.4% | -10.8pt |
| 損益合計 | +1,365万円 | +152万円 | -1,213万円 |
さらに候補単位で詳しく見ると、EW2に枠を使われたことで逃したカップ短期設定の候補がありました。ここでいう逸失損益は、実際に得られなかった利益ではなく、「もしカップ短期設定単独なら入れていた候補を、バックテスト上で取れていたらどうなったか」という仮想的な比較です。
実行取引数の差分と、候補単位で見る逸失損益は定義が違います。記事では混同しないように、前者は「実行されたカップ短期設定の取引減少」、後者は「枠競合で逃した候補」として扱います。
以下は、過去データ上で「こういう候補を逃していた」という確認例です。現在の投資対象として紹介するものではありません。また、逃した候補がすべてプラスだったわけではありません。ここでは、枠競合によって大きな機会を逃すことがある、という例として上位の候補を匿名化して挙げています。
| 候補 | 確認月 | 逸失損益 | 損益率 | 手仕舞い理由 |
|---|---|---|---|---|
| 候補A | 2024年8月 | +126万円 | +31.8% | 保有期限到達 |
| 候補B | 2024年4月 | +79万円 | +19.2% | 保有期限到達 |
| 候補C | 2023年5月 | +73万円 | +25.5% | 保有期限到達 |
| 候補D | 2022年11月 | +71万円 | +28.8% | 保有期限到達 |
| 候補E | 2022年12月 | +69万円 | +27.9% | 保有期限到達 |
組み合わせ内のカップ短期設定は、勝率も損益も劣化した
もう一つ気になったのは、組み合わせでも取れたカップ短期設定の質です。単に取引数が減っただけなら、まだ説明は簡単です。ところが、組み合わせ内で実行されたカップ短期設定の取引は、勝率も損益も大きく落ちていました。
この理由として考えたのが、相場環境のズレです。EW2が下落局面で枠を使っている間、良いカップ短期設定のシグナルが出ても入れません。EW2のポジションが損切りされたあとに残った枠で入れるカップ短期設定は、すでに相場環境が悪い時期のシグナルになっている可能性があります。
私はこれを、良いカップ短期設定を逃したあとの「残りシグナル問題」として見ています。表面上は同じカップウィズハンドル判定でも、どのタイミングで枠が空いたかによって、取れる取引の質が変わります。
2020年のドローダウンで逆張り同時保有の怖さが見えた
組み合わせの最大ドローダウンは、2020年の急落後に大きく悪化しました。この局面では、4枠すべてをEW2が占有していました。EW2の性格上、下落後の押し目を拾いに行くため、この動き自体はロジックとして自然です。
ただ、複数の逆張りポジションが同じタイミングで崩れると、ドローダウンは一気に深くなります。逆張りロジックは、1つだけなら早めに反発を拾える可能性があります。ただ、同じような局面で複数同時に入ると、相場がさらに崩れたときに損失が集中します。
| 候補 | シグナル | エントリー時期 | 手仕舞い時期 | 損益 | 理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| ポジションA | EW2 | 2020年3月下旬 | 2020年4月上旬 | -12.6万円 | trailing_stop |
| ポジションB | EW2 | 2020年3月下旬 | 2020年4月上旬 | -12.6万円 | trailing_stop |
| ポジションC | EW2 | 2020年3月下旬 | 2020年5月下旬 | +5.7万円 | max_holding |
| ポジションD | EW2 | 2020年3月下旬 | 2020年5月下旬 | +35.4万円 | max_holding |
もちろん、EW2のすべてが悪いわけではありません。上の表でも、後からプラスで終わったEW2ポジションがあります。ただ、ドローダウンを見るときは、最終損益だけではなく、途中でどれだけ資産が沈むかも重要です。実際に運用するなら、この下落幅に耐えられるかを考えなければいけません。
採用したのはカップ短期設定単独という地味な結論だった
最終的に、本番採用候補として残したのはカップ短期設定の単独です。本文では具体的な買い判定パラメータ値までは出しませんが、方向性としてはカップウィズハンドルの短期ルックバックと、ポジションサイズ調整後の資金配分を組み合わせた設定です。EW2は組み合わせ時にカップ短期設定の質を落としたため、現時点では無効化する判断にしました。
これは派手な結論ではありません。強いロジックを足して、さらに強い戦略を作るという話ではなく、むしろ「足さない方が良かった」という話です。でも、今回の検証ではそこが一番大事でした。
システムトレードの買い判定は、単独成績だけでなく、同じ資金枠の中で他のロジックを邪魔しないかまで見ないと判断できません。今回のカップ短期設定とEW2の組み合わせは、そのことをかなり分かりやすく見せてくれました。
AIに検証を任せてよかったのは、こういう直感と違う結果を数字で止めてもらえるところです。人間の感覚だけなら、EW2も残しておきたくなったと思います。チャンスが増えそうに見えるからです。
でも、実際にはチャンスが増えたのではなく、良いカップ短期設定を逃し、残ったカップ短期設定の勝率を落とし、MDDを深くしていました。次に改善するなら、EW2を完全に捨てるのではなく、カップ短期設定と競合しない形を考えたいです。
- EW2専用の小さな枠を作る
- 相場環境が悪いときはEW2を止める
- カップ短期設定とは別ポートフォリオとして検証する
今回の結論は、カップ短期設定の単独を採用候補にすることです。ただし、将来の利益を約束するものではありません。過去データ上で最も納得しやすかった候補を選び、これからも前提を固定しながら検証を続ける、という位置づけです。

